小さく単純な作りながら、土偶の風貌やポーズにはインダス文明の各地方ごとの個性をうかがうことができる。ハラッパーでは頭飾りやアクセサリーを細かく表現したものが多いのに対し、カーリーバンガンやバナワリーなどではより簡素な造形のものが目立つ。
右の3体の立像は、いずれも他とは異なる風貌が注意を引く。ネックレスを幾重にも重ねた頸の長い女性、修行僧のような静謐さを漂わせる男性裸像、王のような威厳を湛える男性像は、都市に暮らしていた多様な人々を窺わせる。